研究内容

臨床研究

研究紹介動画「ココカラ」2020年11月放映

Research46「認知機能からこころの健康に取り組む」

学術変革領域代表者インタビュー公開

臨床心理班代表松井教授の分が下記のHPに公開されました。2022年5月24日

 
Lifelong sciences:Reconceptualization of development and aging in the super aging society

 

<科学研究費 学術変革領域研究(A)> 生涯学の創出ー超高齢社会における発達・加齢観の刷新

A03 認知機能からみたこころの健康へのアプローチ:予防とレジリエンスのために(研究代表 松井三枝)       

・2021年1月23日(土)13:00~15:00に、「生涯学」領域の概要説明と公募研究説明会を兼ねた「キックオフミーティング」を、Zoomで開催いたします。

・2021年3月1日(月)9:30~16:30 領域会議の開催予定となっています。Zoomによるオンラインで実施 <プログラム> 9:30-9:40 開会あいさつ; 9:40-12:40各班の活動報告・今後の方針説明; 14:00-16:00ポスターセッション; 16:00-16:30 総評

・2021年10月9日~10月10日 9:30~16:30 第2回(2021年度第1回)領域会議の開催。(Web開催) 口頭発表 21研究の演題

・2022年3月5日~3月6日  第3回(2021年度第2回)領域会議の開催(Web開催、担当 熊本大学)口頭発表17研究 + ポスター発表47研究

・2022年8月27日~28日 第4回(2022年度第1回)領域会議が開催されました(対面+オンライン、担当東北大学、開催地:南三陸ホテル観洋)口頭発表、ポスターセッション、企画イベント(講演、シンポジウム「生涯学をいかに実装するか?」-南三陸からの発信と生涯学からの応答)ー久しぶりの対面会議で実り多い2日間となりました。

・2022年10月1日~2日 総括班メンバーによる『領域内交流プログラム 「生涯学」ブレスト会議』が立教大学池袋キャンパス 12号館第1会議室にておこなわれました。臨床心理班からは松井教授と菊谷准教授が参加しました。心理学・社会学・文化人類学・教育学のそれぞれの分野からのクロストークで充実した議論ができました。

2023年3月18日~20日は京都で国際シンポジウム+領域会議が開催されました。

2023年度8月26日~27日に夏の領域会議が金沢大学(臨床心理班)が担当で開催します。場所は金沢市文化ホールです。サテライト講演会として、金沢に縁のある上野千鶴子先生による講演「アンチ・アンチエイジング」が予定されています。ご関心ある方は申し込みいただけると幸いです。

⇒8月26・27日に本年度第1回領域会議を金沢市文化ホールでハイブリッド開催しました。口頭発表・ポスター発表に加えて、融合研究に関する米田隆先生の講演、障害・高齢化に関する学際シンポジウム、アンチ・アンチエイジングに関する上野千鶴子先生の特別講演も行われ、活発な学際的議論が行われました。

<第2回日本認知心理学会神経心理学部会対面研究会>

日程:2023年8月25日金曜   13:00-17:00; 場所:石川県文教会館大会議室

テーマ「社会認知研究の諸側面」

あいさつ 神経心理学部会長 松井三枝

中嶋理帆先生 金沢大学保健学研究領域助教 「脳腫瘍患者における社会的認知研究から明らかになったこと」

吉村晋平先生 金沢大学人間社会研究域准教授 「ネガティブ情動の制御とその障害に関する神経基盤」

大塚貞男先生 京都大学医学部精神医学 特定助教 「社会認知障害―自閉スペクトラム障害と統合失調症」

朴白順先生 京都大学人間・環境学研究科 特定助教 「脳損傷患者における情動・動機づけ・社会的認知の障害とその影響」

主催:日本認知心理学会神経心理学研究部会; 共催:学術変革領域研究(A)「生涯学」

報告概要:
医療従事者が臨床現場で出会う様々な神経疾患や精神疾患および発達障害について「社会認知機能障害」という観点から、話題提供者が講演を行ない、社会認知機能障害のみかたや考え方について討論をおこなった。

脳神経疾患の認知機能研究

平成30年度法人主導(トップダウン)型研究課題が採択されました。平成31年3月16日にキックオフセミナーを行ないました。学内のコア・メンバー10名+学内研究協力者3名で構成されたプロジェクトとなっています。

  • 第1回トップダウン研究全体会合 2018年12月18日
  • キックオフセミナー 2019年3月16日
  • 第2回トップダウン研究全体会合 2019年4月15日
  • 第3回トップダウン研究全体会合 2019年5月14日
  • 第4回トップダウン研究全体会合 2019年6月19日
  • 第5回トップダウン研究全体会合 2019年7月30日
  • 第6回トップダウン研究全体会合   2019年9月30日
  • 第7回トップダウン研究全体会合   2019年10月29日
  • 国際シンポジウム 2019年11月3日 於金沢大学サテライトプラザ      シンポジウムポスター20191103E

  • 第8回トップダウン研究全体会合   2019年12月23日
  • 国際交流会合 2020年3月17日-19日

ヒトの高次脳機能障害に対する包括的融合研究 令和4年度 附属病院戦略的研究推進プログラムB4 プロジェクト 2022

令和4年度より脳神経外科中田光俊教授(プロジェクトリーダー)の研究計画が採択されスタートします。当研究室の松井教授(治療部門リーダー)と蝦名研究員がメンバーとして参画してゆきます。学内コアメンバー10名からなります。New!(2022.6.17現在)

先魁プロジェクト2024 高次脳機能の新概念に基づく融合研究拠点の構築

令和6年度より脳神経外科木下雅史先生(プロジェクトリーダー)がキックオフとなりました。当研究室の松井教授(臨床心理・認知予備力グループ代表)となり研究室ともどもメンバーとして参画してきます。(2024.9.30現在)このプロジェクトHPご参照ください。

認知リハビリテーションの開発・実施と効果研究

統合失調症のためのよりよい機能を増進し、社会復帰につなげるための認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy: CRT)はこれからますます重要になってくると思われます。当教室ではそのためのアプローチをおこなうための方法をこれまで検討してきました。現在、とくに、前頭葉・遂行機能の改善をめざすマンツーマン・アプローチと記憶機能の改善をめざすグループ・アプローチに着目しています。
個別アプローチおよびグループ・アプローチのためのセッションごとのマニュアルを作成しました。
*なお、認知リハに関する理論についてはワイクスほか著、松井監訳「統合失調症の認知機能改善療法」金剛出版を御参照ください。前頭葉・遂行機能へのマンツーマン・アプローチのための実践マニュアル(松井・柴田・少作訳および日本人向けへのアレンジ)は別途あります(2015、新興医学出版)1)。 また、記憶機能を中心としたマニュアル(グループおよびマンツーマン・アプローチ)も別途あります(米国UCSD版の翻訳と日本人向けへのアレンジ、松井&大塚訳、日本版治療者マニュアルと各セッションごとの日本版ワークブックはJapanCCT拠点cr.cctj.nw2020アットマークgmail.comに問い合わせ、事務局金沢大学臨床認知科学研究室)2)。

 

 

 

 

 

1)FEP(Frontal/Executive Program)は他施設でも行われるようなってきており、HPに紹介されております。

松井三枝:前頭葉・実行機能プログラム(Frontal/Executive Program: FEP) 日本語版、Clinical Neuroscience, 38 (2), 247-249, 2020

2)  松井三枝、大塚貞男:代償的認知トレーニング (Compensatory Cognitive Training : CCT) 日本語版の紹介、精神医学、58 (3), 245-253, 2016.

松井三枝, 稲田祐奈, 蝦名昂大:統合失調症の認知機能改善療法、精神科、32 (3), 204-210, 2018.

<日本人対象者のための認知リハビリテーションのハンドブックが出版になりましたので、参考にしてください>2020年7月20日発行、8月3日発売

精神科臨床とリカバリー支援のための認知リハビリテーションー統合失調症を中心に、北大路書房  978-4762831133

統合失調症の治療は従来薬物療法が主体であったが,患者自身が能動的にリカバリーを目指せるような援助パラダイムへと変化してきている。社会復帰や生活機能に大きな影響を及ぼす注意,記憶,遂行機能等の種々の認知機能改善を目的とした認知リハビリテーションの各種技法を紹介。

代償的認知トレーニング日本語版(CCTJ)マニュアルおよびワークブックの使用には、JapanCCT拠点への登録が必要です。マニュアルの配布を希望される方は、以下のURL(googleフォーム)より登録申し込みの手続きをお済ませください。CCTJマニュアルおよび研修に関するお問い合わせも、以下の同じURLで受け付けています。

https://forms.gle/FXYU9Vv6Fed7Vjsa6

連絡先:JapanCCT拠点

なお、原著者Twamley先生の所属のカリフォルニア大学で管理されている各言語のCCTマニュアルサイト http://www.cogsmart.com/resources を閲覧していただくことが可能となっています(2023年8月1日現在)

これまで当研究室で作成してきた日本語版検査

1.日本語版RBANS (Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status : すでに公開している標準化資料を参照):トータルで簡便な神経心理学的検査バッテリーのひとつです。現在まだこの日本語版は未出版なので無断使用はしないでください。(下記資料についての連絡先は筆頭著者)

松井三枝 (2009). 日本語版神経心理検査RBANSの標準化研究―標準値について-、富山大学杉谷キャンパス一般教育研究紀要, 37, 31-53.

松井三枝、長崎真梨恵、笠井悠一 (2010). 日本語版神経心理検査RBANSの標準化研究(2)-基礎資料、改訂標準値および換算表―、富山大学杉谷キャンパス一般教育研究紀要、38, 87-133.

松井三枝・笠井悠一・長崎真梨恵 (2010).
日本語版神経心理検査RBANSの信頼性と妥当性、富山大学医学会誌, 21, 31-36.

松井三枝、長崎真梨恵、笠井悠一  (2011) . 日語版神経心理検査RBANSの標準化研究(3)-総指標―、富山大学杉谷キャンパス一般教育研究紀要、39、17-30.

2.Bayley乳幼児発達検査第3版日本文化科学社より2023年10月30日に発売予定決定)Bayley Scales of Infant and Toddler Development, Third Edition
略称 Bayley-III(ベイリー・スリー)

Bayley-III乳幼児発達検査は、生後16日~42カ月15日の乳幼児の発達をアセスメントする検査です。
認知尺度、言語尺度、運動尺度、社会-情動尺度、適応行動尺度の5つの尺度で構成され、総合的に子どもの発達を測ることができます。

医科診療報酬点数 280点 (根拠 D283-2)

科学研究費・その他研究助成

<科学研究費 学術変革領域研究(A)> 生涯学の創出ー超高齢社会における発達・加齢観の刷新

A03 認知機能からみたこころの健康へのアプローチ:予防とレジリエンスのために(研究代表 松井三枝)                                    
研究期間:2020-2024年度                                 研究計画の概要:新しい生涯観の下でヒトの一生を支える脳とこころの機能維持に資する機構を解明するための検討をおこなう。

1.予防的な観点から青年や健常成人を対象としたメンタルヘルスと認知予備力および認知機能活性の効果の検討 2.精神疾患(統合失調症および気分障害)・神経疾患における認知予備力と認知機能改善へのアプローチと社会復帰との関連の検討 3.脳損傷患者の認知機能と認知予備力の関連を検討し、術後回復力予測のためのデータを構築

<科学研究費 基盤研究(B)>精神・神経疾患の認知予備力評価法の開発:神経心理学的メカニズムの解明のために(研究代表 松井三枝)                                    
研究期間:2019-2021年度                                 研究計画の概要: 認知予備力について、医療従事者が臨床現場で出会うさまざまな精神疾患や神経疾患の発症から回復への機能的な理解や予後の予測の目的のために適用可能な道具を開発する。認知予備力はそれまでの教育、仕事、余暇活動経験や病前知能などが関連し、それがさらに、さまざまな精神・神経疾患の発症時からの機能に影響を及ぼすことが予測される。ここでは、器質性脳疾患と統合失調症を代表とする精神疾患と認知症について認知予備力と認知機能の関連を検討することにより、疾患に及ぼす影響の差異を検討する。また、脳画像にもとづく脳形態・機能と認知予備力の関連の検討により、神経基盤の解明に寄与することになると考えられる。

<科学研究費 基盤研究(C)>統合失調症者の残存機能を生かす認知機能改善療法の創成(研究代表 相上律子 小松大学助教・金沢大学博士課程、研究分担 松井三枝)
研究期間:2023-2027年度                                 研究計画の概要:本研究では、既存の治療法を土台に、日本の医療環境に適合した認知機能改善療法を開発し、その効果を実証する。対象は統合失調症がある当事者である。統合失調症は認知機能が障害され、その結果、彼らの生活の質を低下させている。認知機能は薬物療法では改善されないため、認知機能改善療法という治療法が開発されている。しかし、日本では認知機能改善療法は浸透していない。それら治療法が日本の医療環境や統合失調症者の治療継続意欲に合致していないことが原因だと考えられる。本研究により、認知機能改善療法の治療継続および普及に繋がり、統合失調症者のリカバリーを進めることが期待される。

<科学研究費 若手研究)>言語発達を考慮した幼児用嗅覚検査の開発 (研究代表 稲田祐奈 研究員)
研究期間:2019-2021年度                                 研究計画の概要:嗅覚異常や嗅覚低下は認知症で認められるが,自閉スペクトラム症(以下,ASD)のように幼少期から嗅覚に困難を伴う疾患が存在する.そこで本申請では,幼児の嗅覚検査の開発を試みる.しかし一から開発するのではなく,既存の成人用嗅覚検査の方法を幼児向けに改変することによって,実用的かつ,最速の完成を目指す.また,成人用検査を幼児に適用する際に問題となる「言語力の乏しさ」を解消する手続きを追加する.さらに,ASD児に同検査を実施し健常児と比較することで,ASD児の嗅覚力の特徴を検討する.また臨床現場での実施に不可欠な手続きの簡便さ,所要時間の短縮化など本検査の実用性の点についても検討する.

<科学研究費 基盤研究(B)>統合失調症の認知機能改善療法は神経可塑性にどこまで寄与するか (研究代表 松井三枝)
研究期間:2014-2017年度
研究計画の概要:
統合失調症のための認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy: CRT)は「認知過程(注意、記憶、実行機能、社会的認知ないしメタ認知)の持続と般化をともなった改善を目指す行動的トレーニングに基づいた介入」と定義されるが、我が国ではCRTの効果研究はまだ十分にあるとはいえない。本研究では日本人統合失調症患者のためのCRTの効果を検証することである。この際、認知機能障害の改善可能性の検討のために、臨床症状、神経心理機能、日常生活機能の各側面の評価とともに、脳機能画像・脳形態画像を指標として神経可塑性のレベルについても検討する。

<科学研究費 挑戦的萌芽研究>早産児の精神発達と脳形態の関係 (研究代表 松井三枝)
研究期間:2014-2016年度
研究計画の概要:出生後、周産母子センターに入院となった早産児の脳画像および精神発達について、詳細な評価を行ない、両者の関連の検討を行なう。このことによって、脳の発達の途上で出生してくることが精神発達にいかに影響を及ぼす可能性があるのかについて明らかにする。このために、臨床診断のために通常行なわれている脳磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging: MRI)と拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Imaging:DTI)を撮像し、脳体積と拡散異方性を定量化する。また、ベイリー乳幼児発達検査により、認知、言語、運動および社会・情動発達を詳細に評価し、これらと脳画像の関連性を検討する。

<科学研究費 挑戦的萌芽研究>脳および頭蓋の形態発達と進化 (研究分担 松井三枝)
研究期間:2015-2017年度 : 研究代表 東京大学 多賀厳太郎先生; 研究分担 中央大学 壇一平太先生
研究実績の概要: 新生児から成人に至る脳と頭蓋の形態の特徴点を抽出し、発達によるサイズと形態の変化を明らかにすることを目的とする研究を行った。 ・発達期の頭部MRI画像から頭蓋及び脳の特徴点の抽出 生後2ヶ月から22ヶ月の乳幼児の頭部の磁気共鳴画像(MRI)16ケースを分析の対象とした。頭蓋の特徴点として、鼻根・後頭極・左右耳等の点を定義した。また、大脳皮質の脳回や脳溝の形態を反映する特徴点として、片半球あたり20箇所の点を定義した。複数の判定者が、脳表の再構成画像とスライス画像を参照しながら、特徴点の3次元位置座標を抽出し、それらを元に最終的に解剖学的な見地から特徴点の座標を決定した。 ・頭蓋及び脳の形態の分析 (a) サイズ分析 異なる月齢(年齢)の個人ごとに得られた特徴点の3次元座標から、特徴点どうしの距離を求めた。頭蓋及び脳の全体のサイズや特定の領域ごとのサイズの発達曲線を求めた。前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉あるいは脳回それぞれにおいて、成長速度の違いの有無を検討した。現時点の解析では、サイズの発達に関する領域間の違いに明らかな傾向は認められなかった。
(b) 形態分析(プロクラステス解析、主成分分析等) 異なる月齢(年齢)の個人ごとに得られた特徴点の3次元座標から、サイズに依存しない形態のパターンを抽出するために、プロクラステス解析を行った。プロクラステス変換後の特徴点座標に主成分分析を行った結果、特徴点の個人間変動が、両半球の中心溝内側端および左半球のシルヴィウス溝後枝の屈曲点で大きいことがわかった。この結果は、脳領域間のプロポーションは、生後おおむね定まっている一方、個人間で多様性や左右の非対称性の大きな領域があることを示唆するものである。
上記研究に関連して、頭部 MRI 画像における定量的頭表ランドマーク設定法について新たな方法の開発も行った。