研究内容

現行研究

認知リハビリテーションの開発・実施と効果研究

統合失調症のためのよりよい機能を増進し、社会復帰につなげるための認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy: CRT)はこれからますます重要になってくると思われます。当教室ではそのためのアプローチをおこなうための方法をこれまで検討してきました。現在、とくに、前頭葉・遂行機能の改善をめざすマンツーマン・アプローチと記憶機能の改善をめざすグループ・アプローチに着目しています。
個別アプローチおよびグループ・アプローチのためのセッションごとのマニュアルを作成しました。
*なお、認知リハに関する理論についてはワイクスほか著、松井監訳「統合失調症の認知機能改善療法」金剛出版(大幅改訂予定なので、第2刷が良い)を御参照ください。前頭葉・遂行機能へのマンツーマン・アプローチのための実践マニュアル(松井・柴田・少作訳および日本人向けへのアレンジ)は別途あります(2015出版済み、新興医学出版)。 また、記憶機能を中心としたマニュアル(グループおよびマンツーマン・アプローチ)も別途あります(米国UCSD版の翻訳と日本人向けへのアレンジ、松井ほか訳、未公刊)。これらについて現在治療効果研究をすすめております。参加にご関心ある方・施設は当方にお問い合わせください。CCTJ2015@gmail.com(このアドレスは半角の入力をお願いいたします)

科学研究費研究

<科学研究費 基盤研究(B)>統合失調症の認知機能改善療法は神経可塑性にどこまで寄与するか (研究代表)
研究期間:2014-2017年度
研究計画の概要:
統合失調症のための認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy: CRT)は「認知過程(注意、記憶、実行機能、社会的認知ないしメタ認知)の持続と般化をともなった改善を目指す行動的トレーニングに基づいた介入」と定義されるが、我が国ではCRTの効果研究はまだ十分にあるとはいえない。本研究では日本人統合失調症患者のためのCRTの効果を検証することである。この際、認知機能障害の改善可能性の検討のために、臨床症状、神経心理機能、日常生活機能の各側面の評価とともに、脳機能画像・脳形態画像を指標として神経可塑性のレベルについても検討する。

<科学研究費 挑戦的萌芽研究>早産児の精神発達と脳形態の関係 (研究代表)
研究期間:2014-2016年度
研究計画の概要:出生後、周産母子センターに入院となった早産児の脳画像および精神発達について、詳細な評価を行ない、両者の関連の検討を行なう。このことによって、脳の発達の途上で出生してくることが精神発達にいかに影響を及ぼす可能性があるのかについて明らかにする。このために、臨床診断のために通常行なわれている脳磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging: MRI)と拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Imaging:DTI)を撮像し、脳体積と拡散異方性を定量化する。また、ベイリー乳幼児発達検査により、認知、言語、運動および社会・情動発達を詳細に評価し、これらと脳画像の関連性を検討する。

<科学研究費 挑戦的萌芽研究>脳および頭蓋の形態発達と進化 (研究分担)
研究期間:2015-2017年度 : 研究代表 東京大学 多賀厳太郎先生; 研究分担 中央大学 壇一平太先生
研究実績の概要: 新生児から成人に至る脳と頭蓋の形態の特徴点を抽出し、発達によるサイズと形態の変化を明らかにすることを目的とする研究を行った。 ・発達期の頭部MRI画像から頭蓋及び脳の特徴点の抽出 生後2ヶ月から22ヶ月の乳幼児の頭部の磁気共鳴画像(MRI)16ケースを分析の対象とした。頭蓋の特徴点として、鼻根・後頭極・左右耳等の点を定義した。また、大脳皮質の脳回や脳溝の形態を反映する特徴点として、片半球あたり20箇所の点を定義した。複数の判定者が、脳表の再構成画像とスライス画像を参照しながら、特徴点の3次元位置座標を抽出し、それらを元に最終的に解剖学的な見地から特徴点の座標を決定した。 ・頭蓋及び脳の形態の分析 (a) サイズ分析 異なる月齢(年齢)の個人ごとに得られた特徴点の3次元座標から、特徴点どうしの距離を求めた。頭蓋及び脳の全体のサイズや特定の領域ごとのサイズの発達曲線を求めた。前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉あるいは脳回それぞれにおいて、成長速度の違いの有無を検討した。現時点の解析では、サイズの発達に関する領域間の違いに明らかな傾向は認められなかった。
(b) 形態分析(プロクラステス解析、主成分分析等) 異なる月齢(年齢)の個人ごとに得られた特徴点の3次元座標から、サイズに依存しない形態のパターンを抽出するために、プロクラステス解析を行った。プロクラステス変換後の特徴点座標に主成分分析を行った結果、特徴点の個人間変動が、両半球の中心溝内側端および左半球のシルヴィウス溝後枝の屈曲点で大きいことがわかった。この結果は、脳領域間のプロポーションは、生後おおむね定まっている一方、個人間で多様性や左右の非対称性の大きな領域があることを示唆するものである。
上記研究に関連して、頭部 MRI 画像における定量的頭表ランドマーク設定法について新たな方法の開発も行った。